~高級感をキーワードにデザインロジックを考察する~Vol.1 高級感を演出するフォントの選び方
みなさんこんにちは。
今回からシリーズとして、「高級感」をキーワードにデザインロジックを考察してみたいと思います。
ロジックとは「論理」と訳されるため、「感性」を大切にするデザイナーからは敬遠されがちですが、紐解いていくと、「黄金比」や、今回紹介するフォントの「TRAJAN」など、はるか二千年以上も前のスーパークリエイターたちが、「人間が本能的に美しく見える」デザインを研鑽してきた賜物です。
つまり、ダーウィンやミケランジェロといった錚々たるスーパークリエイターたちの「感性」の集大成であると私は思います。
まずは、デザインのロジックを理解した上で、クリエイターとしての「感性」を足していくことが大切です。
目次
1. 高級感に合うフォントは「明朝」か「ゴシック」か
前回のブログ「和文フォント選びの基本『4カテゴリーメソッド』」でも触れたように、「明朝」vs「ゴシック」でいうと、やはり高級感のあるフォントには「明朝」からのアプローチが正解です。
その点ゴシックは、やはりどこか軽さや素っ気なさという印象をエンドユーザーに与えがちです。
もちろん、どのようなデザインにするかによって異なってきます。
【検証1】明朝とゴシックの比較
【検証2】歴史やこだわりを表現する筆文字
また、日本の歴史やこだわり、匠の技といったものを表現したい場合は筆文字からのアプローチが正解です。
2. 欧文の「TRAJAN」に見る高級感とは
欧文書体で真っ先に思い浮かぶのが、というか、私の好きなフォントが「TRAJAN(トレイジャン)」です。
「TRAJAN」は、2,000年前のローマのトラヤヌス帝の碑文に使用されていた「すべてのローマン体の永遠の源」と言われているほど、完璧なプロポーションをもった美しいフォントです。
「TRAJAN」について語り始めると止まらなくなるので、今回は高級感について焦点を絞っていきましょう。
和文書体が明朝からアプローチするように、欧文書体ではサンセリフからのアプローチとなります。
この「TRAJAN」が高級な印象を与える理由は、文字のスペーシングの配置の完璧さや幅が文字によって異なる点です。
当然、当時の皇帝を祀る碑文に使用されているフォントなので「高級」「格式」「威厳」といった印象を与えます。
上記からわかるように、狭い文字はうんと狭く、広い文字はうんと広く設計されている文字が高級感を生み出すポイントとなります。
【検証3】文字幅の違いが生み出す差
3. ルイヴィトンに学ぶ「字間」について
さて、最後は「字間」についてです。
高級ファッションメーカーの「ルイヴィトン」のロゴを見てみると、使用されているフォントは「Futura(フーツラ)」です。このフォントも、字幅をしっかりと考慮して設計されているので、高級感を演出するフォントの一つです。また、エレガントやハイセンスといった印象も与えることができます。
ここで注目したいのが、「ルイヴィトン」のロゴはベタ組ではなく、字間をやや広くとっていることです。
正解からいうと、これは和文でもそうですが、高級感を与える文字組をする際には、字間を少し広げることがポイントとなります。
字間が狭いと、エンドユーザーが読むスピードも早まり、せせこましい印象を与えてしまいます。高級感を持たせるためには、やや字間を広げて、ゆったりと読ませていくことで、そのブランドの価値やや、商品の歴史・重みを伝えやすくなります。
【検証4】字間の違いが生み出す差
まとめ
いかがだったでしょう。
高級感を演出するポイントは
- ファーストアプローチは「明朝(サンセリフ)」から
- 歴史的背景や匠の技を表現する時は、筆文字を選択する
- 欧文は字幅にメリハリがあるフォントを選択する
- 字間は広めにとる
他にも、高級ブランドに使用されているロゴのフォントを使用するのも有効な手段となります。
それでは、今回はこの辺で、次回は「Vol.2 高級感を演出する配色」の説明をいたします。
では、MAKE GOOD DESIGN!