和文フォント選びの基本「4カテゴリーメソッド」

フォントはデザイン用途を理解して選択することが大切です。
それぞれのフォントが持っている特性を理解することで、その効果を最大限に活用することができます。
今回は、和文フォントの基本的な選び方を説明していきます。

和文フォントの4カテゴライズ

まず、和文フォントを大きく4つのカテゴリーに分類します。
分類方法は「明朝体」「ゴシック体」「モダンタイプ」「オールドタイプ」の4つのカテゴリーです。
このほかにもPOP書体などのデコラティブフォントがありますが、今回は割愛します。

1. 「①ゴシック体」か「②明朝体」かを選択する

それでは具体的にフォントを選んでみましょう。
まず、フォントを選ぶ場合、ゴシック体か明朝体かを選択します。
フォントを選択する際に、デザインの方向性を左右するとても重要な要素となります。 以下にゴシックと明朝における、エンドユーザーが受け取るイメージを記載してみました。

「ゴシック」vs「明朝」から連想される基本イメージ

このほかにも、さまざまな切り口があるので、自分の中でキーワードを持っておくことで、ゴシックvs明朝は選択しやすくなります。

【検証1】ゴシックの「都会」、明朝の「古都」

ゴシックのイメージであげられた「都会」、明朝のイメージであげられた「古都」を検証してみましょう。

左:ゴシック(新ゴ) 右:明朝(リュウミン)
京都は古都であるため、新ゴよりリュウミンの方が伝統、歴史、格式のイメージを伝えやすい
左:明朝(A1明朝) 右:ゴシック(AXIS)
明朝を使用すると旅情を感じさせるが、東京の先進性、無機質さはゴシックの方が伝わりやすい。
左:明朝(Trajan+A1明朝) 右:ゴシック(AXIS)
東京をローマ字表記にすることでさらに都会的印象が伝わりやすいが、
この場合もサンセリフではなく、セリフ系+ゴシックの方が伝わりやすい。

2. 「③オールドタイプ」か、「④モダンタイプ」を選択する

明朝体かゴシック体か選択したら、今度はオールドタイプか、モダンタイプかを選択します。

オールドタイプと聞くと「古いフォントだな」というイメージが強いのですが、一概にただ古いだけのフォントとは限りません。では、両者の特徴を見ていきましょう。

オールドタイプ

筆のイメージを色濃く残したフォントのため、不変的で揺るぎない強さや美しさがあり、伝統や格式などを伝えやすい。やや古さを感じるものの、毛筆から感じられる画線の抑揚から、「心の抑揚」「肉声」を伝えやすい。

左:オールドタイプ(中ゴBBB) 右:モダンタイプ(UD新ゴ)

モダンタイプ

毛筆のイメージである「トメ」「ハネ」「ハライ」「ウロコ」といった装飾を排除または簡略化して、懐が広く、明るく風通しの良いフォント。「都会的」や「スマート」「先進性」などのイメージ。また、可読性も高く、UDフォントなどもこの部類に入る。ただ、オールドタイプのように心の抑揚や肉声を伝えるには不向きであり、無機質なところもある。

注意点:明朝体に関して言えば、モダンタイプのフォントを選んでも当然、「トメ」「ハネ」「ハライ」といった毛筆のニュアンスは残っているため、ゴシック系に比べるとその差異は少ないです。

「オールドタイプ」vs「モダンタイプ」から連想されるイメージ

【検証2】「オールドタイプ」と「モダンタイプ」の印象の違い

左:モダンタイプ(新ゴ) 右:オールドタイプ(ゴシックMB101)
心の肉声は、モダンタイプより、オールドタイプの方が伝わりやすいが、
オールドタイプのフォントを使用しても決して古臭さは感じない。
左:オールドタイプ(A1明朝) 右:モダンタイプ(UD明朝)
オールドタイプだと、女性らしさをイメージしやすいが、
モダンタイプにすることで、「先進性」や「スマートさ」現在の「多様性」を伝えやすい。
また、字間を開けてレイアウトするとさらに風通しが良くなり「現代的」な印象も伝えることが可能。

まとめ

いかがでしたでしょうか。このように4つのカテゴリーに分類することで、フォント選びがとても簡単に、そして、エンドユーザーにイメージを伝えやすくなります。欧文も基本的にはこのルールに準じます。もちろん、そのほかにもさまざまなデザインフォントはありますが、この基本を押さえておけば、明日からのフォント選びがスムーズになります。

では、MAKE GOOD DESIGN!